心の内側に張り付いた選択
それでも生きるのを選ぼうと思っているけど、ではなんで生きているんだっけ?と考えると、生かされている部分が大きい。自分以外の誰かやなにか、それと、物の見方や捉え方に。
生きているだけで嫌なことも疲れることもあるけど、明日にはまたおいしいものを食べたいし犬と猫を撫でたいし、新しい一日を始めたい。
私はいつの頃からか、いやとても前からなのだろうけれど「生きること」が前提になっている。
やりたいこと、話したいこと、続きが見たいもの、食べたいもの、美しさや可愛さ悲しさに近くで触れていたい気持ち。
なかったらどうのかな、どうなるのかなと思うこともあるけど、たぶんあるんだよ。
それが幸せなんだ。
私は私の人生や物の見方が嫌いじゃない。
そして不思議なぐらい、過去に戻りたくない。
ネガティブで自己肯定感が低い割には、
おそらく心の本当の内側、それはどこという感じではあるけれど
本当の内側は少し楽観的で自惚れ屋なのだと思う。
たとえばとても好きだけれど自分のことを好きにはならない相手がいるとして、
でも、いなくなったらさすがに悲しむのではないだろうかとは思う。
たとえばそんなに友達が多くないにしても、その数少ない友達は間違いなく悲しんでくれるし悲しませてしまう。
友達がいるだけでまず幸せで、そのうえ、
家族もいて犬と猫や大切な存在がいる。
家族は自分たちを責め、犬と猫も何かを感じ取るだろう。そんなのは辛い。
別の世界に行ったら、みんなと会えないかもしれない。
もしかしたら漫画の続きとアイドルや推しの成長も見られなくなる。
メイクやファッションで可愛くなれない。
大好きなごはんやポテトやプリンが食べられなくなるかもしれない。
せっかく運動して痩せたし肌も安定しているのに、
今、ここで生きない理由がない。
あくまで今の私はそう思えるだけ。
誰かを責めているのではない。
そう思えない人がダメだなんてことはない。
真島昌利さんのアルバムで『人にはそれぞれ事情がある』という作品があり、呪文のように思い出す。
悲しんでくれる人たちや大事な人たちが、
私の望んだ通りの、私の心の平穏を保ち続ける生き方をするとは限らない。(当然だ)
自分も他人も自由だから、いつどんな変化をするのかなんて分からない。
内部からも、外部からも心を乱すなにかが起こることはきっとある。
だけど決して敵ではないはずと、そう気づいていたい。
自分以外の人たちがどんな行動をとっても、
たとえそれが自分の心を抉るようなものであっても、やめてよなんて 多分言えない。
私やあなたもそっちの選択、誰かが悲しまない生き方を絶対しないとは限らない。
だからたくさん考える。
どうしても思いに応えられない。
絶対に入りたかった学校や会社に入れなかった。
絶対に叶えたかった夢を叶えられなかった。
結婚したいほど好きだった人が別の人と結婚した。
約束したはずなのに相手だけどんどん先へ行ってしまった。
お店を続けてほしいと言われたけれど続けられなかった。
だけど決して敵ではない。
味方のまますれ違ったり、縁がなかっただけなのだと思っている。
(念のため記しておくと、理不尽な無視やいじめはこの話と同列で語れない)
「◯◯できなかった」と心に傷を負うかもしれない相手のために、自分の行動を制限したり、気持ちに嘘をつくことも辛いだろう。
叶わなかったほうはもちろん辛いけれど、
叶えられなかった、手を離した相手もきっと辛い。
人生の「そっちの側面」を今見ているのだ、
そう理解できればまだ客観的に、冷静になれるのか?
こればかりは分からない。
ただ言えるのは、叶わなかった対象も敵でも棘でもなく 味方であること。人生の一部であること(ただし思い出したくもないものは捨ててもいい)。
綺麗な側面を見ているだけなのかな。
それでも勘違いしたまま生きている。
とても嫌なことがあっても、私はなぜ生きようという前提なのか。
辛さが足りていないから?
辛さを凌駕する楽しみがあるから?
まだ考えたいから?
積極的に辛くなりたいわけではないけれど
やっぱり生かされているのだと思う。
絶対なんてないことも分かっているのに、
好きな人たちには絶対に笑いながら、深刻な悩みのない暮らしがそこにあってほしいと願ってしまう。
叶わなかったことも、覚えているものは抱えて生きていきたいなあ。
今ある幸せが一つでもなくなったらやっぱり悲しいから、戻りたいとは思わないんだよ。
不思議なぐらい、これは自分の人生だから。
多くの人が本当は笑顔の裏ですべてに絶望して生きるのをやめたいと思っている、なんてことはきっとない。
ないけど、一瞬絶望したら思い出したい。
人の心の内側を想像して、ああ物事には裏も表もあるのだと
そしてそれは、悪いことでも弱いことでもないのだと
思い出していたい。
(悲しいニュースが全国を駆け巡った日の夜に書いて、そのまま寝かせてしまった文章でした)