日なたのアイスクリーム

オタク気質30代の散文裏ブログ。日常での気づきやオチのない日記、犬や猫のことなど。

紺野ぶるまに嫉妬する。

容姿、学歴、収入、婚姻歴、資産、家庭環境、健康状態、友人の多さ、トークスキル、容姿を細かく突き詰めると肌質、髪質、身長、スタイル…

人が嫉妬したり羨んだりしそうなポイントを挙げるゲームでもするならおそらくなかなか豊富で終わらないのではと思うが

幸いにもなのか鈍感なのか、私自身はそれらの項目に嫉妬する感情をあまり持ちあわせずに生きてきた。

いや嘘、肌質はアトピーじゃない人が羨ましいし

流暢にプレゼンできる人が羨ましいけれど

だいたいが「持って生まれたもの」と「本人の力で得たもの」「本人の人生としてはその結果(私にはあまりというか全然関係がない)」のものなので、なんというか同じ土俵に立っていない。

学歴や出身校がすばらしい人は元々の頭脳と努力だったり、経済状況の良い家庭に育ったり自分でお金を払う覚悟を持ちあわせる人生で、そこに私が介入したり嫉妬する余地はないように思う。

頭が良くていいなあ、こうなりたいなあと思うことはあるが、本人の人生に嫉妬するわけではない。

この微妙な違い。

容姿については自分の姿が嫌いじゃない(YESナルシスト)こともあるかもしれないが、これは両親に感謝としか言いようがない。

この陽気な容姿でよかった。なんていうかいろいろ動きやすいのよ。ひとりで行動しても警戒されにくいというか、明るそうに思ってもらえるのか話しかけていただくことも多い。すなわち、いやもしかすると将来の孤独も多少防げるかもしれないじゃーん!そう思っているのは自分だけかもしれないが。

 

前置きが長くなったが、そんな私でも嫉妬する項目があると気がついた。

いつも明確に「羨ましい」「私もそうなりたい」を超えて、「なんで私にはその力がないのだろう」と悔しくなってしまうようなこと。

きっとそういう項目が、世間で言う嫉妬。

 

私にとってそれは「文才」だ。

 

 

インスタのストーリーで流れてきた雑誌社の投稿で「運命の関係を見分けるヒントは…ドラえもん!?」

というまあまあ解読不明なコピーを見つけたのでなんとなくクリックしてみた。

冒頭の紹介文を読むと、どうやら身近にいる?さまざまな女性を観察、考察したエッセイのようで

ああそういうのはたまにあるよね、と謎の見物人目線で読み始めたら、これが引き込まれた。

タイトルの意味を理解し、うまいなあ、と思い、

もう一度紹介文を読んでみると「芸人 紺野ぶるま」と書いてある。

私の芸人への情熱はボキャブラ天国で止まっているため(おーい世代)ほぼ初見に近い名前で、きっとどこかで見たことはあるのかもしれないが覚えてはいなかった。

でもこれから忘れることはないだろう。

そのエッセイは49回目となかなかの長寿連載らしく人気の高さが伺えるが、その理由もわかる。

思わずその場で過去記事を20記事は読んだが、どれもセンスが光り面白い。

特に第38回のおばさんについての考察や44回の会話にリスクを背負う話など、とても共感した。

どれも700〜1000文字ぐらいの、重くならずに読めてしまう文字量だけれど

まず、この文字量で起承転結もちゃんとしていて読後感が「結局何が言いたいかよくわからん、勢いだけだな」にならない構成力がそもそもすごい。

個人的に1000文字程度にすべてを凝縮させる書き方が難しくて、だらだら2000文字ぐらいになりがちなのもありリスペクトの気持ちが増す。

 

日常のあれこれをユニークな着眼点を持って切り取ってシンプルな言葉に料理することは誰でもできることじゃない。

完全に文才があり、言語化能力と構成力が高い。

どうやら普段の芸風としては下ネタが多めと理解したが、エッセイでは特段そんなこともなく、切れ味は鋭いがいろいろな立場に配慮した愛のある文章が多いのではと思う。全部は読んでいないのでぜんぜん違ったらごめんだけど。

 

文才のある芸人の方って、もしかしたらかなりいらっしゃるのかもしれない。髭男爵山田ルイ53世さんのエッセイも好きで、ふとしたときに読むといつも面白くて舌を巻く。

そういえば芸人のキャリアを経て構成作家になる方もいるなあと考えると、文才や構成力があるから芸人になるのか、芸人になったから文才や構成力が備わったのか、なんだか卵なのかニワトリなのかバレーやバスケと身長の関係に似ている気もするが

とにかくまた新たに文才のある面白いエッセイを書く人を知れて、なんだか嬉しい。

(たまに打ち間違いっぽいミスや「的を得た」的に誤用か否かな議論になりそうな表現もあるけどそこは編集者さんが気づいてほしいのよ)

 

残念ながらあまり下ネタを大っぴらにする芸風には共感はできなさそうだけれど(だからこれまで私は彼女を知らなかったのだろう)、それも生きている道が違うから。

彼女のエッセイはこれからも楽しみに更新を待とうと思う。

嫉妬って言っても嫌な感情ではなくて、くうーいいなあ、と思えるほど光るエッセイに出会えた楽しさのほうが大きい。

 

あ、そのエッセイはこちらから読めるよ。

興味がある方はぜひ。

肌感、アラサーアラフォー女性あるいはその思考がある人に特におすすめ。

紺野ぶるま | GINGER[ジンジャー] | 自分を主役にした人生を。

 

あんなふうに文章が書けたら楽しいだろうなあ。

いいなあ。私もそんな文章が書きたい。

光る文章に触れるたびにそう思う。

そんなふうに繰り返し思う事柄って、本当に文章だけかもしれない。

その都度ハマっているものはあるし、その道のプロの作品に触れれば感動するし、

でも、自分に落とし込んで悔しい!となるほどのことが きっと今はこれしかない。

でもそれでいいのだと思う。

 

そういえば音楽文.comが更新されていた頃、文才と熱量の高い一般ユーザーがあふれた世界に衝撃を受けて、あのときも嫉妬したんだ、みんなに。

頭の中をあんなにカラフルに見せられるみんなが羨ましくて、書けない自分に悔しくなって。

いつかあのサイトに載せられるような文章が書きたい、でも私には無理だろうなと諦めていた。

 

でも最終的にそのサイトに掲載できるようなテーマの文章が(SMAPのおかげで)書けて、さらにその月の月間大賞をいただいたりもした。

憧れや嫉妬がポジティブな原動力になることもきっとあるのだろうし、

矛盾するようだが、悔しくなる事柄って「自分もそうなれる」と根拠なく思っていたり伸ばしたいものだったり、そこで戦いたいと思っているからだろうとも感じる。

冒頭に挙げた容姿や学歴などのほうに嫉妬をするタイプの人は、きっと実際には自分も容姿が優れていたり頭が良いはず。または、そうなりたくてめちゃくちゃ努力をしている。

無意識のうちに悔しく思うのは、もともとそこで戦える力があるがゆえではないかと。

どうでしょう。人間ってほんとそれぞれ違って面白い。

 

それにしても芸名すごいな!いや、それで言えばドラゴンボールのキャラクターたちは何食わぬ顔して先駆けのネーミングすぎるけどもね!