日なたのアイスクリーム

オタク気質30代の散文裏ブログ。日常での気づきやオチのない日記、犬や猫のことなど。

金木犀の香りって ほんとに気づいているのかな

ここ数年、「金木犀の香りがどこかからすると秋の訪れを感じる」的な趣のあるソーシャルボイス(仕事っぽい言葉やめますね)が多い気がするのですが

私はその風物詩にコンプレックスすら抱いていた。

 

ぜんぜん香りがわからないから。

 

どれ?どれが金木犀の香りなの?

秋の香りどれ?

 

日が暮れてどこからかカレーの匂いがしてる♪(by20世紀少年)的な、よその家のカレーの匂いならたまにキャッチするのだけども。

 

そもそもみんな、いつ、どうやって金木犀の香りを知ったのか。いつ勉強したのか。

私の狭い視野と経験なのでなんとも言えないが、

幼い頃も大人になっても「これこれ。これが金木犀って言うんだよ」「いま、ふっと香ったこの香りは金木犀と言って〜」と道端や日常で教わった記憶もまるでないため

そもそもどれが金木犀でありどういう香りであるか、すっ飛ばして生きてきてしまった。

知らないこと、経験していないことが多いのはいけないことのような気がしてしまう。本当はそんなことはないのだけれど。

 

いや、もちろん「これがスイカで、こういう香りなんですよ」「なるほど、これが夏」なんてやり取りをしたこともないので

ぜんぶ勉強なんてしてこないのに覚えていたものですが 

イカはほら必修科目的な、割と浸透しているものであると思っているから。

一般的なの?もしかして金木犀も必修科目だったのか。こりゃ失敬…

 

で、毎年秋が来る。金木犀のつぶやきや新作香水のニュースなどが巷にあふれるようになる。

そのたびに「今年こそは感じてやる!金木犀を!!」と決意する。

金木犀が自然に香ってくるのはどうやら期間限定らしい。

今年こそ街中で、道端で、ふっと限定的な秋の香りを感じられる大人に─

そう思ってその期間を過ごすが、去年もその前も、まあ結局どれがその香りかわからないまま

カボチャやイモなどのほうの風物詩に目や舌を奪われて秋が終わったのだった。もぐもぐ、秋ってさいこう。

 

でも今年の私はちょっと違う。

カボチャもイモももちろんおいしいが、ついにそれ以外のこともわかった。

そう、知ってしまったのだ…

 

f:id:megumirai_words:20221005214052j:image

(ジャーン的な効果音をくれ)

これだろ!これが金木犀

そう!散歩して探し当てたよ!

このオレンジのつぶつぶの、この下でかいだ香りは

いくらなんでも真実だろう!!

 

やったー!!ついにわかったぞー!!

 

たったこれだけでドヤ感と音量がすごい。

ちゃんとした金木犀のある場所を散歩中に探し当てられたことが嬉しくてミラーレスで写真を撮ったよ。

 

そう、青い鳥は近くに。家から歩いて行ける距離に、実は金木犀はあったのだ。

ただね、近いと言っても頻繁に通る場所ではない。というか5年に1度ぐらいしか通らないような場所にそれはあった。

そのあたりのスポットにどうもアレがあるらしい。アレって?例のものだよ。秋になるとみんなが騒ぐ、や、みんなが楽しむアレだよ。みんなって誰?一部の切り取りを国民の総意とは思わないほうが、いや今回はそういう議論がしたいわけじゃない。そんな情報を仕入れたので久々に出向いてみたわけです。

 

蚊がたくさんいたけれども、どうしても本物の香りを知りたくて しばし金木犀の下で立ち止まっている情緒な女になった。

すうーと大きく息を吸い、「これだな、たぶんこの香りだ!香水※もこんな感じだった!」と確信を抱き、でもまだちょっと不安だから何度か深呼吸を繰り返して香りをインプットして、そのたびに蚊がやってきたりした。秋の確信ゆらぐから、ちょっと今はやめてもらっていいすかね。

※今年は本物に会う前にお金を積むという情緒のない方法を用いてSHIROの金木犀のミニボトル香水を買い、香りを勉強した。

5分以上その場所に佇み、ようやく満足した。

 

さーすがに、さすがにこれで金木犀を知る女になっただろう。

私もようやくソーシャルボイスと同じ感覚を体験できた……

今回はそんな記念の日記でした。

 

 

 

……いやでも、こんなふうに実物の下で大きく呼吸をしないと金木犀の香りを感じられないって、そもそも無理やりでは?

巷にあふれる金木犀好きな人たち(?)は、歩いているだけでふんわりとこの香りを感じられるらしいのだが…

悲しいことに、私はそれは無理だった。件(くだん)の散歩中、金木犀らしきものが視界に入って「あれかな」とアタリをつけるも、香り自体は近くに、真下にたどり着くまでまったく漂って来なかったからね。

 

私、めちゃくちゃ鼻がきかない説。または、歩いているだけで香りがわかる人たちは特殊能力の持ち主説。

 

とにかくあのオレンジの真下でかいだ香りが金木犀の香りなんだな。正直完全に覚えたか、街中で香ってきても断定できるのかと言われたらたぶん怪しいけれども、手元に香水もあるし大丈夫(?)。

ひとつ賢くなった今年の秋であるが、私のような金木犀に鈍い人が他にいないかと検索をかけると、実はまあまあいることが判明したのも収穫だったんだけどね。よかった、実りの秋。

🔍金木犀 香り わからない

 

f:id:megumirai_words:20221005215901j:image

 

特にこの『金木犀の香りがわからない』歌には共感せざるを得ない。この現象を作品にする目の付け所がすごい。歌詞も読んだが、よかった。

 

金木犀の香りがわからない

なんとなく分かったように

話を合わせてきたけれど

本当はどんな香りかわからないまま

また 秋が終わる

 

また 花は落ちる

もう終わりだって

君は知ってた

愛の意味をずっと

僕は間違えたまま

 

周りに話を合わせていただけで実は金木犀の香りがどんな香りかなんて知らなくて、

最終的には愛の解釈のあやふやさにつながっていく。その流れとても好きだな。

私も金木犀の香りはもちろん、愛の香りもよくわからないからなあ。そういうことか(?)。

 

みんな、ほんとに気づいているのかな。まあこの話は深いな。またいつか。